●オゾン発生器と空気清浄機との違いについて●


約10年程前から、空気清浄機は業務用のみならず、家庭用に普及し始め、特に5年位前からは家電メーカーが本格的に参入したことにより、この業界のバリエーションは飛躍的に伸びました。

現在の空気清浄機には大別して2通りの方法があるといえ、1つは以前から販売されている『ファン式』と呼ばれるHEPAフィルターなどを用いた花粉やハウスダストなどを捕捉するタイプのものでクリーンルームなどにも用いられる技術を使用したものがあります。
もうひとつは『イオン式』と呼ばれるもので、これは内容が多岐に渡っており、例えばプラズマ式と呼ばれる電気集塵機の進化系のタイプは、フィルターで集塵するのではなく放電による電極へのゴミの滞塵を行うタイプがあります。

また、同じ放電タイプでもプラズマとは電極の正負を逆に用いたイオン式はマイナスイオンを発生するなどという付加価値を前面に出して販売されているが、その多くは放電の際に微量のオゾンを発生することが知られ、脱臭の効果が実は、このオゾンの効果であることは表示されていなかったり、メーカーサイドのオゾン濃度などのデータの公表は殆どないのが実態です。
最近では更に様々な付加価値をつけた商品が出ていますが、これには家電業界特有の裏事情があります。
商品のライフサイクルの早い家電業界では新商品を出して1年もしないうちに旧モデルになってしまいますが、そうなると値下げを余儀なくされます。

メーカー側は基本となる技術やベースモデルに、目先を変えた付加価値やデザインを変更して過去モデルのマイナーチェンジ品を『新商品』として販売していかないと、売上が維持できない厳しい業界でもあります。
そのため、現在販売されている空気清浄機は加湿機能や脱臭機能、またはアロマテラピーのような芳香剤の役目をなすものなど、一口に空気清浄機といっても、空気を清浄化させる機能よりも別の機能の方に進化した機種もあり、なかなか比較しにくい状況が出来上がっています。

弊社のDASH-KUNminiシリーズは、金額も形状も市販の空気清浄機に似通っているところがあり、お客様で混同されて同一に考えられるケースもありますので、簡単に違いを述べておきます。

まず、DASH-KUNではHEPAフィルターなどは付属していませんので、花粉やハウスダストなどの粉塵を除去する機能はありません。

逆に脱臭機能を比較しますと、空気清浄機に付属している脱臭機能は、光触媒や微量のオゾンを副次的に生成するなどの『オマケ』の要素として付加された機種が多いので、室内の薄い臭いに対して効果のある商品はあるものの、本来の脱臭を必要として設置する必要があるほどの臭気を脱臭できる機種は、知る限りありません。
弊社の商品を設置されてお客様が言われる共通の言葉が『これまで空気清浄機で試して取れなかったのに取れた』という言葉です。
オゾンは別に述べましたように、濃度の管理は必要ではありますが、脱臭という目的だけで考えれば臭気物質との反応力や分解力は、既存の家電商品レベルの空気清浄機とは比較にならないものです。

その最大の理由は、従来の空気清浄機の脱臭の原理は、装置内に臭い物質を取り込み、なんらかの処理を行い、無臭化して再び装置の外に出すという循環方式ですが、この方法では室内のカーペット、カーテン、シーツなどに付着した臭いを吸引して脱臭処理することが困難です。
オゾン発生機の場合は、臭い物質と反応・分解するオゾンを室内全体に行き渡らせることで、カーペット、カーテン、シーツなどに付着した臭い成分を直接酸化分解できるため、空気清浄機に比べて短時間でしかも高レベルな脱臭が可能となるわけです。

また、最近の空気清浄機は、更なるモデルチェンジや目先を変えて価格帯を維持しなければならない事情から、除菌イオンなどと呼ばれるイオンを放出し、空気中のウイルスやカビなどの菌を殺すことができると、インフルエンザ対策などに『殺菌』できることを売りとして商品展開しているものもありますが、この除菌イオンの製造方法も放電式のオゾン発生器とほぼ似た方式であることから、オゾン発生の問題や空気中の窒素からNOxを発生させる心配などは懸念されているものの、、この点について明らかなデータを出しているメーカーはありません。

殺菌に限って言えば、使用の濃度や、人のいるスペースでの使用制限など、弊社やディーラー様による指導は必要なものの、もともとオゾンは殺菌目的に普及していったものですし、DASH-KUNの場合、放電タイプではありませんからNoxを生成する心配もない上、紫外線ランプによりオゾンを生成する性質上、装置内を通過する空気は紫外線により殺菌されるという『ダブル殺菌』を可能としていますので、これも殺菌機能つきの空気清浄機よりも明確な効果を発揮することが出来ます。

空気清浄機の付加機能の能力のあいまいさや、性能上の問題点については『空気清浄機』をキーワードにウィキペディアなどでお調べいただければご理解いただけます。

もちろん、リーズナブルな価格で、様々な複合機能を、『オマケ』として期待するならば、そのような多機能空気清浄機を購入されるのも良いかもしれませんが、一口に空気清浄機といっても考え方がばらばらで、機種選択は大変ではないかと思います。

大切なのは、空気清浄機能に何を求めているかだと思います。

専門業者の立場から申しますと、ハウスダストや花粉などの粉塵の除去には風量の大きなHEPAフィルターの装着された空気清浄機をお勧めします。
風量が大きくないと室内の循環回数が少なく、粉塵の除去スピードが大幅に低下するので能力=風量という考え方で選ばれると良いかと思います。

そして、脱臭や有機溶剤のような化学物質によるアレルゲンの分解を目的とされる場合、使用する濃度によっては人の居ない時間帯にオゾンを用いて処理する方法が、短時間で幅広い物質に対応できますのでお勧めします。
また、殺菌についてはオゾンの場合、人の居ないエリア・時間帯のみでの条件付になりますが、弊社の指導のもとで処理されることをお勧めしたいです。

昔から、餅は餅屋といいます。
除菌イオンが殺菌力があると考えた場合、有害な菌だけを選択的に処理するという考え方や人体に無害という考え方は、むしろ不自然であり、本当に殺菌効果が十分にあるものでしたら、このイオンが体内の有用な菌も殺すことになりますし、イオンによる結合力を考えれば、人体の皮膚や目・鼻・のどの粘膜などにも必ずやダメージを及ぼすはずです。
この除菌イオンが人の居る場所で使用可能な商品であるならば、長期使用による人体への悪影響の問題はどうなのか心配ですし、逆に何ら人体に問題がないというのであれば、そのエリア内の殺菌効果もどの程度のものかと思ってしまいます。

オゾンに限らず、害虫駆除や消毒用に使用されていたが規制された臭化メチルやメタミドホス、またシロアリ駆除に使われていたヒ素化合物など、いずれもてきめんの効果があり効くから多用されたわけですが、虫や菌に効くということは人体にも有害だということで使用濃度の制限が設けられ、なかには劇薬として指定されてほど危険視されたわけです。
除菌イオンの場合、殺菌はできるが安全なので使用の制限もないし人体への影響もないというのは、殺菌や消毒の仕事に携わるものにとってにわかに信じがたいものです。