004(2025-4-25)
●生ごみ処理機へのこだわり●
弊社では菌床の攪拌方法は、攪拌時間の大半は停止していて1割程度の時間のみ攪拌させる『間欠運転』を基本としています。
消滅型の生ごみ処理機には、もうひとつ、休みなく攪拌し続ける『連続運転』という方法があります。
『連続運転』 |
攪拌を連続運転させると常に菌床に酸素を取り込むこととなり、菌の環境として酸素を好む『好気性菌』による生ごみ分解がメインとなります。
好気性菌は、有機物の分解スピードが速いことがメリットですが、分解レベルが低く、一定レベルの分解までしかできず、それ以上の分解は苦手です。
本来は低濃度の有機物を得意とするものであり、生ごみのような高濃度の有機物に対しては、分解は苦手なのも、この菌の特徴で、水処理でいうところの『活性汚泥』にも通じると言えます。
この環境で育つ菌の種類も単調であり、毎日変化していく投入生ごみの種類に対しての負荷変動にも菌の種類が少ないことから良い菌が育ちにくく、むしろ同じ種類の生ごみを毎日処理していく場合や、ある程度の分解で良しとする場合、生ごみの量が少なくて低濃度な条件などにに有利な処理方法であると考えられます。
連続攪拌のもっともデメリットなのは、連続的に攪拌することで生ごみは分解されるまで状態、まさに『ナマ』の状態で排水に流れていく可能性が高くなる点です。
大型の処理機になるにつれ攪拌槽の直径も大きくなり攪拌時にパドルが底部パンチング板に与える押し出し圧力は増大していくため、生ごみの中で米飯やパンなどの水を含んで柔らかくなる生ごみはパンチング板の穴から圧力によって押し出され、排水とともに流れてしまいます。
これにより機械の稼働によって発生する排水の濃度は非常に高くなり、配管内の汚泥の詰まりの問題や、管内での汚泥の腐敗による悪臭問題、排水処理施設や下水道への排水負荷の増大による基準値のオーバーや後工程の微生物のショック死などを招く恐れがあると言えます。
『間欠運転』 |
弊社の採用している運転方法は、攪拌を停止させて菌床を寝かせる時間を長くとり、一定時間ごとに少しだけ攪拌させる間欠運転を採用しています。
味噌づくりや、酒造り、堆肥作りなどでも一定時間寝かせて、定期的に攪拌するという同様の方法を取ります。
攪拌を停止させて寝かせているときに酸素は不足気味となります。
『通性好気性菌』の乳酸菌や酵母などは酸素が減ることにより乳酸発酵を行ったりしますし、さらに酸素の少ないエリアでは『通性嫌気性菌』や『偏性嫌気性菌』も育ち、それぞれの仕事を行います。
もちろん定期的な攪拌や菌床の表面部分では『好気性菌』が分解活動を行います。
このような環境を作ることにより多種多様な菌による生ごみの分解を狙っています。
また嫌気性菌の特徴として、分解時間は好気性に比べて時間がかかるものの分解レベルは遥かに高くBOD除去率も高いことが特徴の一つです。
これも排水処理などではメタン発酵や嫌気槽などで採用されています。
連続攪拌のデメリットに挙げたこととは逆に、攪拌時間が少なくなることで生ごみは長時間菌床に抱かれて維持され、底部パンチング板の穴から未分解の生ごみが漏れにくいのもメリットとして挙げられます。
また、弊社の特許であるドレンユニットの構造により、機械の底部に汚泥を長時間溜めることができる構造であることから、この部分では嫌気性の微生物が育ちやすく汚泥の有機物分解もできる点は他社では不可能な特徴であると言えます。
このように間欠運転により、より多くの種類の菌を育てることで毎日変化する生ごみの種類に対応でき、様々な特性の菌により限られた時間内で最大限の分解を行えるよう工夫しています。
これらの多くの菌の分解のバトンタッチにより、より多くの生ごみに対応出来、より濃度の低い排水を流せることが可能となります。
003(2020-12-7)
●生ごみ処理機の主役は微生物であること●
生ごみ処理機という名前が良くないのか、洗濯機然とした外観のせいなのか、使用される方の中には、生ごみ処理機は生ごみを放り込んでおけば、あとは勝手に生ごみが分解処理されると思われがちです。
もちろん、メーカーとしては、できるだけ自動的に生ごみが分解処理されるように工夫を凝らすわけですが、洗濯機のように洗い物と洗剤を入れておけば、勝手に水が出て洗濯・すすぎ・脱水・乾燥までしてくれて時間がくれば、洗濯物を畳むだけの状態まで持っていけるのとは大違いです。
消滅型と呼ばれる生ごみ処理機の殆どの機種は微生物の分解力を利用して生ごみを液化分解するわけですから、機械の役割としては、微生物が活発に活動できる環境を作ってやる必要があります。
まずは、容量が適正かどうか。
わかり易い例を述べると、浄化槽を選定する場合、その施設を使用する人数により10人槽、20人槽という形で浄化槽の処理量が決定しますが、どのメーカーの商品でも、流入する有機物の量(〇〇人槽)が同一である限り、その有機物の分解に必要な微生物の量も同一であり、微生物を飼育する曝気槽の容量に大差なく、大体どのメーカーも似たサイズの容量となります。
ところが、生ごみ処理機の場合、同じ日量100kg処理の機種であってもメーカーによりボディーサイズがずいぶんと違います。
メーカーによっては2ランクくらいサイズが違います。浄化槽の曝気槽に匹敵する微生物を飼育するスペースは菌床であり、それを保持する撹拌槽が同じ役目を担うわけですが、メーカーは違えども横軸の撹拌タイプであれば、左右の機器類やメンテスペースはほぼ同様なので、ボディーの寸法が微生物の量と推定して構いません。
したがって、ボディー寸法の大小は、撹拌槽の容量=菌床の容量=確保できる微生物の量とみなせます。ボディーが小さければ少ない菌の量でごみを分解することになるので処理そのものに無理が生じてきます。もちろんボディーが小さければそれだけ製造原価は少なく済むので価格は安くなりますが、ここが価格だけで決めてはいけないポイントなのです。
おがくずのような微細な菌床を用いる場合、撹拌時に空気に触れにくく嫌気域になる部分があるため、初期分解の役目をなす好気性菌により仕事をさせるため有機物に対して多めの菌床を用意することになるのでボディーは必然的に大きめになります。
弊社を始め、ある程度の粒径の菌床を用いる場合、注目していただきたいのはゴミの量に対してどれだけ大きいボディサイズを準備できるか。言い換えれば有機物に対してどれだけの微生物量を確保できるかが生ごみの分解性能を左右することになります。
ボディが小さければ、それだけ少ない微生物が投入される生ゴミを担当することになります。そのため、分解しなければならない有機物の負担がおおきくなり(一般的に有機物負荷と呼んでます。)、同時に微生物と生ごみの接触時間(撹拌槽内の滞留時間)も少なくなるため、分解が不十分となり排水の濃度は高いものを出すことになります。
ボディーが小さいということは1日分に相当する生ゴミを保持する余裕がないので、早く生ごみを処理して翌日の生ごみの投入に備えなければならず、結果的に微生物処理時間が足りず、未消化のまま、ひどい場合、生の状態の生ごみが排水に混入していくことになり、結果的に排水の濃度が高くなったり、配管内で生ごみの固形分が腐敗して悪臭が発生するトラブルに見舞われます。
当然、負荷が高ければ浄化槽ならバルキング(微生物の汚泥が不調により膨化して沈殿槽で沈まなくなる現象)や過剰な余剰汚泥の発生が起きるわけで、それと同じようなトラブルが生ごみ処理機でも発生することになります。
実際の浄化槽トラブルも浄化槽の容量に対して、入ってくる有機物の量が多い場合、必ず、例外なく高負荷を原因としたトラブルが発生し、結果的に排水処理の水質が悪化しています。
これと同じことが、処理量に対して小さいボディーサイズの生ゴミ処理機では起こります。
微生物は嘘を付きませんし、騙すこともできません。
生ゴミを処理する微生物に特殊なものは存在しません。これも廃水処理と同様、活性汚泥法が確立され何10年も経過していますが、未だに特殊な微生物は存在せず、昔ながらの微生物が活用されているのは、無理のない飼育条件下で連続的に生息し続け累代飼育可能な微生物は数えるほどしかないからです。
生ゴミ処理の世界で、『特殊な微生物』というのは通用しないのです。
それは特殊な環境でしか生きられない微生物ならば、生ゴミ処理条件を特殊な環境にキープするしかないので、運転管理やランニングも難易度が上がってしまい、現場の担当者が本業の片手間で管理するのが困難になるわけです。
だから、生ゴミ処理の世界では、もともと生ゴミに付着しているような「どこにでもいる、ありふれた微生物」を主役に立てるしかないのです。
微生物の種類が自然淘汰の結果、どの処理方法でも生き残る種類が決まってくるならば、生ゴミの量に対して微生物の量=菌床の量=撹拌槽の量=ボディサイズは小さいより大きいに越したことはありません。
生ごみ処理機の世界ではコンパクト=進化・メリット、ではなくコンパクト=デメリットしかありません。
もちろん、ボディーが大型化していけば価格は高くなりますので、必要十分なボディサイズを見極めるのがメーカーのノウハウになると思います。
弊社では生ゴミ処理機を販売する際に、いきなり多くの処理量でラインナップを組んだわけではありません。製造して20年の間に、例えば170kg/D処理を実プラントで稼働させて数年間様子を見て次の大型機250kg/Dを販売し、実運転で数年後、問題がないのを確認し、350kg/D、500kg/Dというふうに機械を大型化させていきました。
弊社としては、この有機物負荷については、長年培ってきた廃水処理プラントの知識と経験を活かし、必要な微生物量を確保するため、十分なボディサイズ(菌床の量)を準備しております。 カタログなどでボディサイズを比較されるのもよいかと思います。
また、微生物の活動温度も重要なポイントです。
生ごみを分解する微生物は一定以上の温度をキープしてやらないと十分な活動を行うことが出来ず、微生物の分解に直接影響します。
活動を維持する撹拌槽内の温度はメーカーにより多少は違うと思われますが、最低でも30℃から40℃程度は維持する必要があるかと思われます。
これも各メーカーのカタログでヒーターの容量を比較され、メーカーの考え方を調べてみるのも良いと思います。
ちなみに。ホームセンターで最も売れている熱帯魚飼育セットは60センチ水槽ですが、この水槽を25度にキープするために必要なヒーター容量は200W程度です。
たった60リットルにも満たない水を25度にするため200Wを要するわけです。生ごみ処理機の場合、容量は60センチ水槽より遥かに大きく、この熱帯魚の水温よりも10℃以上高い温度をキープする必要があるわけで、上記のような小型のヒーターでは到底役不足であり、相応のヒーターを標準装備しないと適正な微生物の活動をキープすることができません。
湯沸かしポットに使用されるヒーターでも短時間で水温を揚げるため1200W程度を装備しているわけですから、ヒーターの容量は冬場の外気温で冷える生ゴミ処理機に対して必要十分な容量を確保しなければなりません。
尚。ウッドチップなどの菌床では、どうしても容量が大きくなるので、全体を暖めるためのヒーターの容量は、どうしても大型化する傾向にあります。
処理する生ごみの量が多ければ、投入直後に撹拌槽内の温度は一気に下がります。 したがって、一気に温度を復帰させるヒーターの余力が必要となります。
温度が1日に上下が激しいと分解微生物は十分な能力を発揮することが出来ません。
低下した撹拌槽内の温度を短時間で元に戻すためにヒーター容量は余裕が必要となります。
また、ヒーター容量が不足すると、底部パンチング周りに生ごみの油脂分が固形化し、石鹸のような塊となり、排水できなくなったり、配管内で塊が詰まるなどのトラブルも発生するので、その意味でも設備全体の保温は必要と言えます。
大きなヒーターを使用すると電気代が高くなるかといえば、そうではなく稼働時間が短時間で目標の温度に到達するので小さなヒーターを長時間使用するのと電気代は変わらないのを皆さんは経験済みかと思います。
1gの水を1度上昇するための熱量は、大型のヒーターでも小型のヒーターでもヒーターの稼働時間×ヒーターのワット数の数値は同一です。
そうなると小型のヒーターを付けてダラダラと水温を上げるうちに、外気温による温度低下してしまうため、更にヒーターの稼働時間が伸びるような小型のヒーターを選ぶ選択肢はないわけです。
処理量に対して、どの程度の大きさのヒーターが装備されているか。これを比べるとメーカーの考え方が分かるのではないかと思います。
カタログを各社並べて処理量に対してヒーター容量がどうなのか比べてみてください。
微生物の活動には、栄養分と温度の他、酸素が必要です。 微生物の中には酸素がなくても活動可能な種類もありますが、初期分解は酸素を必要とする種類です。
消滅型の場合、ブロワーなどで強制的に酸素を送る必要はなく、したがって臭気が排気されることもありません。
撹拌により菌床に空気が混ざり、酸素を微生物に与えますが、活動させる微生物を嫌気性も含めて多様化するためあまり頻繁に撹拌は行いません。
稼働時間の80-90%は撹拌せず、菌床そのものをじっくり寝かせ、微生物に生ごみを分解させます。 ちょうど、お酒や味噌を作るため麹を育てるようなイメージでしょうか。 決して、ぐるぐると連続運転で撹拌し続けるものではありません。
菌床が固い場合、あまりぐるぐると撹拌させますと、生ごみがすり潰されて、底部のパンチング穴から微生物分解されない、ただの微細な生ごみとして固形分が排水される危険も高いと言えます、こうなると生ごみ処理機は微生物で分解する装置ではなく、ディスポーザーのように、単に生ごみを細かく砕いて排水する装置と一緒になってしまいます。
本来、ディスポーザーは国の法律により、直接下水道に排水してはいけません。
それだけ、生ごみを小さくして流すということが排水の濃度を高くすることに繋がるからです。
生ごみをそのまま流したりせず、じっくりと微生物で有機物分解させるためにも、撹拌は連続ではなく、できるだけ撹拌せず、じっくりと寝かせてやることが、排水の濃度を低く維持することに繋がります。
このような、撹拌時間や、排水の濃度について各メーカーの考え方を水質データを含めて、調べるのもよいかと思います。
生ごみの菌の種類については、上にも述べましたが、再度、簡単にまとめます。弊社は長年、廃水処理のプラント設計や施工を手がけてきましたが、この排水処理業界においても光合成細菌や特殊な土壌性バクテリアなどが排水のトラブルに有効だと何10年も前から何10種類も市場に販売されましたが、一時的な特効薬として利用されたことはあっても、廃水処理のメインの菌として定着することはありませんでした。
特殊な菌ということは、育つ環境も特殊であり、一定の条件を満たさないと長生き(累代飼育)出来ないのです。
菌が育つ条件としては、栄養分の種類、pH、温度、酸素濃度などで、育つ菌種は異なります。
仮に同一の条件で育成可能な菌が何種類も居たとしても、お互いの菌同士の相性があり、競合し合う中で負けて死滅する菌も居ますし一大勢力として他の菌を圧倒して大繁殖する種類も居ます。
生ごみには数100種類の菌が付着していると言われますし、生ごみ処理機が置かれる自然環境も1000種類以上の菌が浮遊していると言われますが、結局、菌同士の競争に勝ち残った微生物のみが、生ごみ処理機の運転条件に適合して数種類だけが生ごみの分解の役に立つというのが現実です。
つまり、特殊な菌を用いたところで、その有用な菌を連続的に生ごみ処理機の中で累代飼育することは困難であり、最終的には、ありふれた自然界に普通に存在する微生物が生ごみ処理機の中で活躍するようになります。 弊社も機械を稼働させるときに、スターターとして種菌を使用しますが、40数種の菌をブレンドしていますが、最終的に生き残り、生ごみの分解に役に立ち、累代飼育できるのは大きく分けて数種類に限られています。
生ごみ処理機の運転条件は、前述の酸素や温度などの条件は各メーカーの大差はないわけで、その結果、育つ微生物も大差ありません。
言い換えれば、上に書いたボディーサイズ(撹拌槽の容量)、ヒーター容量、酸素量(攪拌時間)なども似たようなものであれば、生ごみを分解する微生物も似たようなものが育ちますので、有用な微生物を育てる環境を維持したいなら、どのメーカーも似たような運転条件になると言えますし、逆に言えば、上に書いたような運転条件を外れてしまうと、生ごみ分解に有用な微生物を育てることはできなくなります。
各メーカーのスペックを比較されて、違いがどこにあるのか、検討されると良いと思います。
002(2011-2-2)
●生ごみ処理機で取り組むリサイクル●
生ごみ処理機が普及し始めたのは、約10年前の食品リサイクル法の施行に合わせて、食品残渣をリサイクルにまわす方法の一つとして民間に広がっていった背景があります。
しかし、実際に市販された生ごみ処理機の大半は堆肥やコンポストを作るものであったため、機械を稼動する際の臭気やハエやゴキブリが集まって不衛生になったり、肥料を作る条件がシビアであるため、失敗して生ごみが分解しなかったりと、問題もありました。
そのため、多くの堆肥・コンポスト型の装置は稼動を停止してしまったケースが多いです。
しかも、生成されたコンポストや堆肥も一次発酵品であることから直接肥料として使うには作物には刺激が強すぎますので結果的には得られたコンポストを更に熟成させる施設が必要となり、現実問題としてスペースや手間の問題で、コンポストを肥料として利用するのには困難であることから、多くの堆肥型やコンポスト型の機種はコンポストをリサイクルに利用することもなく産廃に出しているのが現状と聞いています。
消滅型と呼ばれる堆肥型の別バージョンの機種では、頻繁な堆肥の間引きは少ないものの数ヶ月に一回とか、半年に一回のレベルで、機械内部の堆積物を全交換する必要があり、大掛かりになるため交換コストが高く、大量であるために肥料としての引き取り先が確保できないため、これらも産廃処理となっているようです。
乾燥タイプの生ごみ処理機は、堆肥型やコンポスト型よりも処理は安定していますが、業務用レベルになりますと乾燥時の臭気が問題になるケースも多く、特に加熱温度の高いタイプは焦げた臭いが遠方まで流れるとのことです。
また、確実な減容は可能ですが、定期的に乾燥処理されたゴミは発生するので、飼料などへの引き取り先が見つからない場合、結果的に有償で産廃に出すケースが多いと聞きます。
その他、生ごみをメタン発酵してメタンガスをエネルギー源として電気エネルギーを作るなどの試みもありますが、現実問題として管理面やイニシャルコストのハードルが高く、設備導入後の減価償却がまだまだ現実的ではなく、本格的な実用化にはまだ時間が掛かるものと思われます。
弊社のような生ごみを液化分解させるタイプの場合、空気を送り込むことがないので臭気が拡散しにくく悪臭のトラブルが少ない点が評価されていますし、堆肥型に比べて運転条件が幅広いため管理がしやすい点も評価されています。
また、他の方式が生ごみを処理しつづける限り、処理物が発生した際に産廃費用が掛かってくるのに対して、液化分解方式は既存の下水道や浄化槽に流すことができるため、余計な費用が掛からない点が一番のメリットとして評価して頂いています。
しかも、生ごみを液化分解して排水に流すタイプで、ウッドチップなどの不純物が混ざりにくいタイプはセラミックろ材を採用している弊社だけで、不純物が混ざらないから液化分解したものを液肥という形で肥料に利用できるのも他社にない特徴であるといえます。
肥料といえども、植物に必要な肥料の量は知れているわけで、生ごみ処理で生成する分解物を液肥として全て利用できるわけではないので、かなりの量は廃棄しなければいけないわけですが、弊社の方式であれば普段は排水に流しておき、使う分だけを液肥として使用すればよいわけですので無理のないリサイクルの計画が建てられます。
現在、弊社では民間企業様や自治体様、NPO法人様など複数の地域でリサイクルに取り組んで頂いており、コンポストタイプでは10年近く、液肥のスタイルでは3年ほど実際に農作物を栽培していただき実績を挙げております。
収穫された農作物は露地栽培でも水耕栽培でも、味にエグみもなく、成長も早く、甘味のある野菜として従来の化学肥料のみの作物よりも高評価を頂いております。
生ごみ処理機が普及し始めて約10年、当初の目的のリサイクルについて、なかなか実用面では得られた肥料の引き取り先の問題などもありリサイクルの輪が繋がったケースはごく僅かでしたが、弊社のシステムでは肥料にできる部分をリサイクルにまわして、あとは排水に流すという現実的な無理のない形でリサイクルが出来ますので取り組まれるお客様も長続きしています。
弊社では、今後も生ごみ液肥のリサイクルのノウハウや技術を普及していけるようご提案していきたいと考えております。
001(2011-2-2)
●オゾン発生器と空気清浄機との違いについて●
約10年程前から、空気清浄機は業務用のみならず、家庭用に普及し始め、特に5年位前からは家電メーカーが本格的に参入したことにより、この業界のバリエーションは飛躍的に伸びました。
現在の空気清浄機には大別して2通りの方法があるといえ、1つは以前から販売されている『ファン式』と呼ばれるHEPAフィルターなどを用いた花粉やハウスダストなどを捕捉するタイプのものでクリーンルームなどにも用いられる技術を使用したものがあります。
もうひとつは『イオン式』と呼ばれるもので、これは内容が多岐に渡っており、例えばプラズマ式と呼ばれる電気集塵機の進化系のタイプは、フィルターで集塵するのではなく放電による電極へのゴミの滞塵を行うタイプがあります。
また、同じ放電タイプでもプラズマとは電極の正負を逆に用いたイオン式はマイナスイオンを発生するなどという付加価値を前面に出して販売されているが、その多くは放電の際に微量のオゾンを発生することが知られ、脱臭の効果が実は、このオゾンの効果であることは表示されていなかったり、メーカーサイドのオゾン濃度などのデータの公表は殆どないのが実態です。
最近では更に様々な付加価値をつけた商品が出ていますが、これには家電業界特有の裏事情があります。
商品のライフサイクルの早い家電業界では新商品を出して1年もしないうちに旧モデルになってしまいますが、そうなると値下げを余儀なくされます。
メーカー側は基本となる技術やベースモデルに、目先を変えた付加価値やデザインを変更して過去モデルのマイナーチェンジ品を『新商品』として販売していかないと、売上が維持できない厳しい業界でもあります。
そのため、現在販売されている空気清浄機は加湿機能や脱臭機能、またはアロマテラピーのような芳香剤の役目をなすものなど、一口に空気清浄機といっても、空気を清浄化させる機能よりも別の機能の方に進化した機種もあり、なかなか比較しにくい状況が出来上がっています。
弊社のDASH-KUNminiシリーズは、金額も形状も市販の空気清浄機に似通っているところがあり、お客様で混同されて同一に考えられるケースもありますので、簡単に違いを述べておきます。
まず、DASH-KUNではHEPAフィルターなどは付属していませんので、花粉やハウスダストなどの粉塵を除去する機能はありません。
逆に脱臭機能を比較しますと、空気清浄機に付属している脱臭機能は、光触媒や微量のオゾンを副次的に生成するなどの『オマケ』の要素として付加された機種が多いので、室内の薄い臭いに対して効果のある商品はあるものの、本来の脱臭を必要として設置する必要があるほどの臭気を脱臭できる機種は、知る限りありません。
弊社の商品を設置されてお客様が言われる共通の言葉が『これまで空気清浄機で試して取れなかったのに取れた』という言葉です。
オゾンは別に述べましたように、濃度の管理は必要ではありますが、脱臭という目的だけで考えれば臭気物質との反応力や分解力は、既存の家電商品レベルの空気清浄機とは比較にならないものです。
その最大の理由は、従来の空気清浄機の脱臭の原理は、装置内に臭い物質を取り込み、なんらかの処理を行い、無臭化して再び装置の外に出すという循環方式ですが、この方法では室内のカーペット、カーテン、シーツなどに付着した臭いを吸引して脱臭処理することが困難です。
オゾン発生機の場合は、臭い物質と反応・分解するオゾンを室内全体に行き渡らせることで、カーペット、カーテン、シーツなどに付着した臭い成分を直接酸化分解できるため、空気清浄機に比べて短時間でしかも高レベルな脱臭が可能となるわけです。
また、最近の空気清浄機は、更なるモデルチェンジや目先を変えて価格帯を維持しなければならない事情から、除菌イオンなどと呼ばれるイオンを放出し、空気中のウイルスやカビなどの菌を殺すことができると、インフルエンザ対策などに『殺菌』できることを売りとして商品展開しているものもありますが、この除菌イオンの製造方法も放電式のオゾン発生器とほぼ似た方式であることから、オゾン発生の問題や空気中の窒素からNOxを発生させる心配などは懸念されているものの、、この点について明らかなデータを出しているメーカーはありません。
殺菌に限って言えば、使用の濃度や、人のいるスペースでの使用制限など、弊社やディーラー様による指導は必要なものの、もともとオゾンは殺菌目的に普及していったものですし、DASH-KUNの場合、放電タイプではありませんからNoxを生成する心配もない上、紫外線ランプによりオゾンを生成する性質上、装置内を通過する空気は紫外線により殺菌されるという『ダブル殺菌』を可能としていますので、これも殺菌機能つきの空気清浄機よりも明確な効果を発揮することが出来ます。
空気清浄機の付加機能の能力のあいまいさや、性能上の問題点については『空気清浄機』をキーワードにウィキペディアなどでお調べいただければご理解いただけます。
もちろん、リーズナブルな価格で、様々な複合機能を、『オマケ』として期待するならば、そのような多機能空気清浄機を購入されるのも良いかもしれませんが、一口に空気清浄機といっても考え方がばらばらで、機種選択は大変ではないかと思います。
大切なのは、空気清浄機能に何を求めているかだと思います。
専門業者の立場から申しますと、ハウスダストや花粉などの粉塵の除去には風量の大きなHEPAフィルターの装着された空気清浄機をお勧めします。
風量が大きくないと室内の循環回数が少なく、粉塵の除去スピードが大幅に低下するので能力=風量という考え方で選ばれると良いかと思います。
そして、脱臭や有機溶剤のような化学物質によるアレルゲンの分解を目的とされる場合、使用する濃度によっては人の居ない時間帯にオゾンを用いて処理する方法が、短時間で幅広い物質に対応できますのでお勧めします。
また、殺菌についてはオゾンの場合、人の居ないエリア・時間帯のみでの条件付になりますが、弊社の指導のもとで処理されることをお勧めしたいです。
昔から、餅は餅屋といいます。
除菌イオンが殺菌力があると考えた場合、有害な菌だけを選択的に処理するという考え方や人体に無害という考え方は、むしろ不自然であり、本当に殺菌効果が十分にあるものでしたら、このイオンが体内の有用な菌も殺すことになりますし、イオンによる結合力を考えれば、人体の皮膚や目・鼻・のどの粘膜などにも必ずやダメージを及ぼすはずです。
この除菌イオンが人の居る場所で使用可能な商品であるならば、長期使用による人体への悪影響の問題はどうなのか心配ですし、逆に何ら人体に問題がないというのであれば、そのエリア内の殺菌効果もどの程度のものかと思ってしまいます。
オゾンに限らず、害虫駆除や消毒用に使用されていたが規制された臭化メチルやメタミドホス、またシロアリ駆除に使われていたヒ素化合物など、いずれもてきめんの効果があり効くから多用されたわけですが、虫や菌に効くということは人体にも有害だということで使用濃度の制限が設けられ、なかには劇薬として指定されてほど危険視されたわけです。
除菌イオンの場合、殺菌はできるが安全なので使用の制限もないし人体への影響もないというのは、殺菌や消毒の仕事に携わるものにとってにわかに信じがたいものです。